すみや渋谷店

すみや渋谷店

すみや渋谷店が1月で閉店してしまうことになったと聞いた。

ここ数年、サントラを買うことは増えたが、アマゾンやディスクユニオン新宿やタワーレコードで買うことが多かった。すみやじゃないと、というものもあったし、実はすみやの方が安いということもあった。だから、渋谷に行くとタワーレコードとすみやをハシゴしてより安い方で、ということもあったけれど、多くの場合、すみや以外で買っていた。

すみや渋谷店

だから、すみやが閉店すると聞いても、「そうか、残念」としか言うことができない。閉店するのを止めるからもっと買いに来てよ、と言われても困ってしまうだろう。残念だけれど、僕にできるのは最後にもう一度すみやを訪れることだけだった。

すみや渋谷店

閉店セールだそうだ。欲しいサントラを安く買えたり、定価なら買わないけれど、安くなっているなら買ってしまう商品に出会えるのは、それは嬉しい。けれど、別にセールじゃなくても全然よかった。僕なりにたくさんの思い出があるすみや。やっぱり最後にきてみてよかったと思う。

すみや渋谷店

半蔵門線の改札を出て、東横のれん街の前で地上に出て、跨道橋の下の横断歩道を渡って、パンテオンだった場所の前を通りながら、東横線の駅を見る。サントラ、映画、渋谷。この風景ってそういうものが混ざった感慨を揺さぶるのかもしれない。そう思いながら振り返ってみると、銀座線で来ればよかったとも思う。銀座線が地上に出て、東急文化会館の壁に書かれた映画のタイトルを見ることは、これはこれで映画な感慨を揺さぶってくれるものだったはずだ。

すみや渋谷店

金王坂ってキンタマみたいでおかしい、と40を過ぎた今でも思ってしまう自分に苦笑い。途中、号泣している女性がいたけれど、すみやを思って泣いてた訳じゃないよね、多分。東邦生命ビルに渡る歩道橋を上り、途中でちょっとだけ下がる階段。ここって「すみやにいくぞー」っていう感じ。

すみや渋谷店

店内はたくさんの人。店員さんと話している人が多い。常連さんなのだろう。とっかえひっかえにかかるいろんな楽曲。途中、グレムリンのエンドタイトルが流れる。えー、もしかしてこの音源売ってんの?とソワソワ。それらしそうな区域をさがしてみたものの見当たらず。そりゃそうだよね。会計のときに「グレムリンがさっきかかってましたけれど、あの音源って売ってるんですか?」と尋ねたけれど、やっぱり在庫してないみたいだった。残念。

すみや渋谷店

舞台ものの区域を除いてひととおり商品をチェック。セールだったせいか、棚はかなりスカスカ。気持ちがあんまりガルガルしてなかったから、別に悔しいとは思わなかった。どちらかというと、記念に何枚か買いたいな、という感じ。欲しいけれど高いなぁ、と思ってた商品(シルバラードとか)はセール対象外。すみやは今後、通販のお店としてやっていくそうなので、こういう商品を安売りする必要はないのだろう。ちょっと残念(セールはどうでもいい、とか言ってる割に、ちょっとは期待していた)。

すみや渋谷店

結局、「Monster House」を2割引で、「The Fly」を半額で購入。「The Fly」ってたしかCDは「The Fly 2」と2 in 1になってた気もする。アナログはどちらも持ってるんだけど、ま、記念だからね。

すみや渋谷店

結局、お店には1時間以上滞在したんじゃないかと思う。すみやでのショッピングを堪能した。アマゾンとかで買い物をするようになってから、店頭で商品をカチャカチャと漁るのは面倒くさいと思うようになったけれど、すみやを隅から隅まで見るというのは、他では得がたい楽しい時間だと再認識した。「おー、こんなの出てる」「あぁ、そういえばこれ買ってなかった」「わー、曲数が増えて再販されてんのかよー」などなど。サントラ天国はサントラ地獄。

すみや渋谷店

会計を済ませた後、店員さんに「写真を撮ってもいいですか?」と尋ねたところ、快諾してくださったので、店内のあちこちでパチパチと撮影。「ああ、この絵ってすみやだよな」とか思いつつ10枚以上撮影。口の中が少しだけ甘酸っぱい。

すみやを後にして、山手線で新宿へ。iPodの中に80年代半ばのサントラをあれこれ入れたのを聞きながら歩く。新宿に行った目的は2つ。ひとつは、すみや閉店の情報をブログに書いてくれたゾートロープで呑むこと。もうひとつは、野村ビル地下のすみや新宿店跡地に行くこと。

すみや新宿店跡地

僕がすみやを知ったのは、高校時代に学校帰りに偶然すみや新宿店に立ち寄ったときのこと。1983年。先行オールナイトで観たジェダイの復讐のサントラを、通常公開日より前にここで買って、カセットにコピーしてウォークマンで毎日のように聴いていた。店内は山野楽器とか新星堂とは全然違う雰囲気で、ニセモノを売ってるんじゃないかと最初は思った。ダンボールに入ったままの商品もあったし、タスキは付いてないし。

サントラを買う楽しさを知らなければ、それはそれで別の楽しいことのために時間やお金を使っていただろうし、それはそれで楽しい人生だっただろう。でも、サントラと共にある今の人生もまた楽しく、時に苦しい(欲しい音源が手に入らないときね(笑))。