ベトナム戦記 - 開高健

ベトナム戦記 (朝日文庫)

何年か前にベトナムを旅行した際に、できることならば現地の人に「アメリカとの本土決戦をせずに敗戦し、アメリカ的経済で動いている日本と、アメリカと本土決戦をして勝利し、でもアメリカ的経済で動いているベトナム」という話題について話を聞いてみたいと思っていた。

で、現地ガイドさんとしばらく話しをする機会を持ったので、そんなような話を少しだけして、目論んでいた話そのままではなかったものの、ガイドさんとの話しを楽しむことができた。

この本を読んで、その経験を思い出した。とはいえ、この本の著者ほど聞き取りの力があるわけでもなければ、決定的な現場だったり人物だったりに触れている訳でもない。もちろん、僕は決定的な現場(焼身自殺だったり、戦場そのものだったり)に踏み込みたい訳ではないので、それを悔しく思ってる訳ではなく、そのような現場を垣間見せてくれるこの本をありがたく思うだけなのだけれど。

独特の語り口に当初は少し戸惑ったが、途中からぐいぐいと引き込まれた。