リトル・ミス・サンシャイン

2月12日にイクスピアリで鑑賞。三連休最終日のレイトショーは、平日の夜よりは人が出ているけれど、土日ほどではないという感じなのだろうか。この映画はいずれにせよ混まないだろうと思うけれど、駐車場が思いのほか空いていたのは楽でよろしかった。

以下、ネタバレ。

非常に意地の悪いコメディ。序盤、危なっかしそうな人物に思える自殺しそうなおじさんと無言の長男が、実はとても冷静に現実を見ていて、食卓で気持ちを通わせてしまうところで一気に映画に引き込まれる。なんと秀逸な滑り出し。

登場人物それぞれに不幸が「ひとり一個ずつ分配」(お母さんの分はなかったけど)されていくという構成が序盤に見えてしまうものの、おじいちゃんが死んじゃうところとか、長男君の色弱が判明するところは大爆笑せずにはおれないパワーを持っていて、それでも笑うに笑えない内容になっているところがどうしようもなく刺激的。ベソかきながら、ウヒウヒ笑う自分が面白かった。

色弱であることを知って落ち込む長男とオリーブちゃんの無言のやりとり(そして、その直前の、長男の説得をオリーブちゃんに任せる両親の判断の的確さ)は、非常に短いながらも思い出すと産毛が逆立つほどゾクゾクする部分。

コンテスト会場についた後の部分は、残念ながらそれ以前ほど面白いとは思えなかった。子供のミス・コンテストの醜悪さを笑いものにしているのかもしれないとは思ったが、醜悪に思えても、それを笑う余裕は僕にはなかった。本当に気持ち悪かった。さらに、オリーブちゃんのダンスとその後の家族の乱入部分も、ドラマの落としどころとしてはパワー不足に思えた。残念ではあるけれど、映画全体としては終盤のマイナスを補って余りあるパワーを持っているので大した問題にはならないのだけれど。

ロサンゼルスが近づいてきたことを、フリーウェイの立体交差で提示するのは面白かった。10年以上前に、アリゾナからカリフォルニアに戻るドライブをしたときのことを思い出した。この風景をもって他の説明なくロサンゼルス接近を説明できるものなのだな。