池袋ウエストゲートパーク - 石田衣良

池袋ウエストゲートパーク

収録されている4編は、いずれもDVDで見たテレビドラマの原作になっているもの。若干の変更を加えてドラマ化された部分はあるものの、多くの部分はドラマのまま(正確にはドラマが小説のまま)であり、主人公マコトくんによるナレーションは、僕の頭の中で長瀬君の声に変換されていた。

連続ドラマとして話しを作り変えられたテレビ版よりも、一話完結の小説の方が面白いと感じる。でも、テレビ版のタカシ君(窪塚君)は魅力的だったなぁ。

ひとたび読み始めると、その描写の巧みさにぐいぐい引っ張られてしまう。読んでいく上で大きな発見などはないのだけれど、提示される世界やスピード感が魅力。

でも、そう感じて楽しめたのは4編の2編目くらいまでだろうか。作を追うごとにマコト君の知識レベルがどんどん上がっていってしまうことに違和感を覚えた。こんなにいろんなことを知っている人だったのかなぁ、僕がこの本の序盤でおこなったマコト君のプロファイリングが誤っていたのか。マコト君は頭の回転は速いのだけれど、それほど知識とかウンチクとかの人ではないと思って読んでいたので、後半でハードボイルド小説の主人公のようにウンチクを語るに至って、気持ち悪さばかりを感じるようになってしまった。