信仰の現場 - ナンシー関

信仰の現場―すっとこどっこいにヨロシク (角川文庫)

ナンシー関の文章は本当に面白いと思う。

しかし、他のテレビ感想文ほど好きになれないのは、テレビ評がテレビという圧倒的な存在に対して「王様は裸だ」と述べている痛快さを持っているのに対して、この本からは「放っておいてくれよ」と言っている存在をサーチ・アンド・デストロイして笑う意地悪さのようなものを感じてしまったからかもしれない。

「信仰の現場」としてこの本で語られる場所に集う人たちが、はたから見てトホホだったり、スットコドッコイであることに異論はない。けれど、正直なところ「放っておいてくれよ」と思ってたりする人も少なくないだろう。ナンシー関の独特の語り口で自分の「信仰の現場」を記述してもらって、それを読む楽しさというのはあるかもしれないが、それを楽しむためにはなかなか心の余裕というか、人間としての大きさが必要なんじゃないの、と思ったりするのだ。

幸いにもこの本で語られる信仰の現場に僕はいないし、そのような信仰も持ち合わせていないので、多少の違和感を感じながらも、ナンシー節を楽しむことができたし、これからも引き続き、

「あぁ、ナンシー関がいたら、これをどう語ってくれたのかな」

。。。と思いながら生きていくことになるのだろうと再実感した。