大江戸観光 - 杉浦日向子

大江戸観光 (ちくま文庫)

NHKの「コメディ・お江戸でござる」に出演していた杉浦日向子は、見ていて「何でこの人はこうも断定口調なんだろう」と不思議に思えてしまって、あまり好きになれなかった。今回、ほんの気まぐれからこの本を読んでみて、この人が断定口調を用いていた心情に触れたような気がして、「ああ、もっとこの人のしゃべりを聞いていればよかったな」と少し残念に思った。

本書は途中から少し退屈に思えるようになったものの、筆者が江戸時代、または江戸に対して持っている愛情がわかったような気になれる、なんともいい気持の文章が立て続けに出てくる。時折思い出したように、2~3編を読んだりするとよい気分になれるかもしれない。

時折文章の中に出てくる核戦争に関連する記述を見ながら、「ああ、80年代にはこういう観点が存在していたのだなぁ」と、当時のことをあれこれ思い出したりした。